いよいよ佳境!人気も上昇NHK木曜時代劇「ちかえもん」

「視聴率なんか気にしない!」姿勢が功を奏した?


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 歴代ワースト視聴率を叩きだし、世を騒然とさせた
松山ケンイチさん主演の大河ドラマ、「平清盛」。(筆者は大好きでしたが。)

その脚本家・藤本有紀さんを再び大胆起用し放映中の、
NHK木曜時代劇「ちかえもん」

意外や意外(失礼!)
残るあと2話の段階で、じわじわと注目度が上がってきています!

とはいっても「ちかえもん」
ご覧になっていない方が大半と思うので、
前回「ちかえもん」レヴューはこちら


ストーリーは、江戸時代の人形浄瑠璃作家、
「ちかえもん」こと近松門左衛門松尾スズキ)が、
名作、「曽根崎心中」を世に出すまでの
“生みの苦しみ”を描いたもの。(…と言えば聞こえは良いものの…。)

この「ちかえもん」、前回レヴューで「ちかえもん」役・松尾スズキさんと、
「ちかえもん」を慕って絡んでくる飴売りの青年、
「万吉」役の青木祟高さんがW主演、と書きましたが、
一応主演は青木祟高さんです。(実質的な主役は「ちかえもん」ですが。)


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出典:dorama.matomemato.me


「万吉」は、現代の私たち、視聴者目線の象徴的役回りなんですね。

周りの大人たち(特に「ちかえもん」)が、古い因習に絡めとられ、
にっちもさっちもいかなくなっているところを、
スカッとひと言で、解決の糸口につながるヒントを言い放つ。

「ちかえもん」が、名作を生み出すきっかけを掴むのも、
きっとこの「万吉」の無邪気なひと言なんかが影響を与えてるんです。


実際のところ、「ちかえもん」(あだ名)こと、近松門左衛門は、
超スランプの絶不調。
新作が書けず、遊郭に入りびたり。
なじみの遊女(優香)を前にうだうだと愚痴をこぼしては慰めてもらう日々。

この2人のまったりした日常のまわりでは、
実はとんでもない愛憎劇が繰り広げられており、
「ちかえもん」も、いやおうなくその中に巻き込まれていく…。

元祖癒し系健在


松尾スズキさんはじめ、
各ベテラン俳優さんたちの好演・熱演ももちろん素晴らしいのですが、
ドラマを見ていて気付いたのは、
優香さんの役どころ。


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脇役である売れない年増の遊女「お袖」役をいいあんばいに演じています。

落ち込んでるクサレ中年(失礼!)「ちかえもん」に対するフォローがすばらしい。


「ワシみたいなショボクレた年寄りの世迷言なんぞ誰が聞きたいねや。」

「クヨクヨしなンちゅねん。そこがアンタのエエとこやないかいな。」(ニコッ)

「ええトシして、しょうもない事で悩んでるアンタが、おもろい。
   …かいらしいちゅうてんねん。」
(テレ笑い)


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「お袖、今日は浄瑠璃作者『近松門左衛門』の命日や。」
「もの書きの気持ちなんぞ誰にもわかってたまるかい。」


「そやなー。わてにもわからんわ。」(ダンゴを喰いながら、)
「そんだけ特別な仕事や言うことやろ。」

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「お殿様にも公方様にもでけへんことを、あんたはその腕一本でやっとんのや。
すごいこっちゃがな。」
(茶啜る)

このさりげなさ。

いつも「ちかえもん」の愚痴につき合わされ、つっ込み担当の「お袖」
たまに見せるこんな言葉にすっかりほだされてまう中年オヤジ。

元祖癒し系アイドルの面目躍如。
いや~、参考になりますな。ホント。

当時の遊女は15歳前後で見世出し(デビュー)し、19も過ぎると年増、
22、3歳にもなると早や大年増。
売れない遊女は肩身が狭い。

借金は減るどころか、衣食住にかかる更なる借金で、
身請けされない限り将来はない。
裏通りのさらに安い女郎屋に転売されるのがオチ。

崖っぷちなのは、「お袖」「ちかえもん」も同じなのです。

唯一「共感」してくれる「お袖」を、「ちかえもん」はきっといつの日か
身請けしよう、と決心するのです。

早見あかりの美しさ炸裂!


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 名作「曽根崎心中」ヒロインのモデルであろう、訳あり遊女「お初」
これを演じる早見あかりさんのドアップに耐える美しさは、
思わず「ちかえもん」も心の中で、

「わっか~い。」
「きっれ~い。」

とつぶやくほどの神々しさ。


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ベテラン俳優さんたちのフォローがあってこそですが、堂々のヒロインっぷり。
まだまだお人形さんのような美しさですが、その存在感は充分。
これから演技力を磨いていって、いい俳優さんに成長していってほしいものです。

小技がきいた仕掛けも光る


「ちかえもん」の心の中でのつぶやきには、
大抵しらっとヨコ文字がでてきます。

毎回楽しませてくれる「ちかえもん」の歌う替え歌もしかり。
ちなみに、

第4話・井上陽水「傘がない」
第5話・新谷のり子「フランシーヌの場合」
第6話・菅原洋一「知りたくないの」…。

いずれも団塊の世代のオトーサン達が泣いて喜ぶ
‘70年代前後にヒットした名曲ぞろい。


ふざけているようでも時代考証はぬかりありません。
当時の人形浄瑠璃の人形遣いを考慮して、
ひとり遣いを再現しています。(現在は3人)

また、「お初」を身請けするために「平野屋忠右衛門」が用意した小判は、
「金貨」ではなく、当時流通していた「銀貨」。

細かいところも手を抜いていません!


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出典:www.oricon.co.jp


若い視聴者にはこのような演出は新鮮なのかもしれませんね。

実はこういったパロディー娯楽時代劇は、NHKの十八番なんです。

時をさかのぼれば‘70年代初頭、NHKで放送された
「天下御免」山口祟主演―平賀源内役)、
その同流とも言える「天下堂々」篠田三郎主演)などなど。

特に「天下堂々」で、天保時代のまさにヤンキー娘を演じた
若かりし頃の桃井かおりさん。

トレードマークのボブヘアーのまま、
水風船のヨーヨーを片手にブラブラ。
舌っ足らずでクダまいてて可愛かったなー (…って知ってる世代かい!?)

こういった、歴史があるからこその、振り切った演出なんです。

民放でも、「浮浪雲」など、秀逸な娯楽時代劇はありましたが、
いまや、庶民を描いた“ひねりの効いた痛快時代劇 ”的世界は瀕死の状態。

だからこそ「ちかえもん」、あと2回で終了とはなんとも残念。

てか、あと2回で、名作「曽根崎心中」書けるんかい?
これはいやおうなく、怒涛の展開必死。
NHK木曜時代劇「ちかえもん」残る2話に乞うご期待!!


…てな陳腐な言い回しはワシのプライドが許さんのであった。(byちかえもん